2024年07月02日

湘夢遺稿、下(江馬細香)


原文
一歳猶餘一月來
預愁氷雪日成堆
霜風小黠吹春煖
倫将春心巳上梅

書き下し文
一歳猶お 一月を餘し來る
預め愁う 氷雪 日に堆を成すを
霜風 小黠 春煖を吹く
春心を倫み将って 巳に梅に上る

現代語訳
思えば今年も後ひと月を残すばかりとなりました。
いつもなら雪が降り積もって氷の様に硬くなる事を
案じておりました。
しかし、この時期にしては案に相違して春のような暖かい風になりました。
もうすぐ春だよって微笑んでいる様で、梅が咲のが待ちどうしいのです。

注)旧暦12月(現代の一月)
posted by 成功の道しるべ at 15:05 | TrackBack(0) | 江馬細香

2024年06月29日

湘夢遺稿、下(江馬細香)

湘夢遺稿、下より

原文
起下階徐夜看楓
一庭霜葉燭煙中
海棠春影応慚死
照出重重蜀錦紅

書き下し文
起ちて階徐を下りて夜楓を看る
一庭の霜葉 燭煙の中にあり
海棠の春影 応(まさ)に慚死すべし
照らし出す重重 蜀錦の紅

現代語訳
ふと窓から外を眺めると手招きされているようで
座敷から夜の庭におりて楓を見ました。
庭一面の楓は霜に逢ってさらに色合いを増し、
座敷から漏れ出る明かりに風情を感じます。
春を告げる艶やかな海棠も、さぞ口惜しがって
いることでしょう。
幽かな明かりに霜を帯びた楓は蜀錦の様に
幾重にも重なりあってこの上なく美しいのです。

海棠 - バラ科の落葉小高木

posted by 成功の道しるべ at 11:30| Comment(0) | 江馬細香

2024年06月24日

湘夢遺稿、下(江馬細香-エマサイコウ)

湘夢遺稿、下、より。

原文
家住長松乱水間
百流合饗日潺湲
慣聞窓底何防静
坐読唐詩対晩山

書き下し文
家は住す長松乱水の間
百流合饗して日々潺湲たり
聞くに慣る窓底何ぞ静けさを妨げん
坐して唐詩を読み 晩山に対す

現代語訳
まっすぐに伸びる松の間をあちらこちらに小川が流れ
その一角に私の家があります。
一つ一つの流れが相待って、今日も明日もさらさら
流れています。
窓辺から聞こえてくるせせらぎの音がとても気持ち良いのです。
時々窓を開けせせらぎの音に誘われるまま、唐の漢詩に酔い
暮れ行く山々に思いを馳せています。

江馬細香は江戸末期の女流詩人。
硬いことばかり書いているので、チョット一休み。
仕事の合間に如何!
ちなみに、現代語訳は小生の意訳。
タグ:江馬細香
posted by 成功の道しるべ at 14:07| Comment(0) | 江馬細香
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