2025年01月16日

呂氏春秋11(隰朋の人と為りは上志して下求し)

書き下し文
隰朋(しゅうほう)の人と為(な)りは上志(じょうし)して下求(かきゅう)し、
黄帝(こうてい)に如(し)かざるを醜(はじ)として己に若(し)かざる者を哀れむ。
其の国に於(お)けるや聞かざるあるなり。其の物に於(お)けるや知らざるあるなり。
其の人に於けるや見ざるなり。已(や)むこと勿(な)くんばすなわち隰朋(しゅうほう)可なり。

現代語訳
朋(ほう)の人と為(な)りは理想を高く持って、しかも実行は下に求める。
黄帝に及ばざるを恥とする。しかも隰朋は己れに及ばざる者を哀れむ。
其の国に於けるや聞いても聞かぬ、知っても知らない。見ても見ないことの出来る人だ。
大勢の人間を支配してゆくには、これがなくてはならぬ。
私の感情、好み、癖というものが出てはいかぬ。
どうしてもと言うなら即ち隰朋が良い。
posted by 成功の道しるべ at 10:17| 呂氏春秋

許蘭雪軒(ホナンソロン)

題名を見ても何か分からない。
物語のように読む「朝鮮王朝五百年」を読んで知った。
朝鮮王朝第十四代の王、宣祖(ソンジョ)の時代に生きた女流詩人。
日本でいうと江馬細香、式子内親王、を彷彿とさせる天才詩人。
ただ、その才能故に家族から疎まれ若くして亡くなった。
名前は、許蘭雪軒(ホナンソロン)、詩は、采蓮曲(チェリョンゴク)
本では、キラリと輝く恋の詩と紹介している。

その詩がこれ!
原文
秋淨長湖碧玉流
蓮花深處繋蘭舟
逢郎隔水投蓮子
或被人知半日羞
書き下し文は、いろいろ調べて4種類載せた。

書き下し文(1)
秋は長湖を淨め碧玉流る。
蓮花深きところに、蘭舟つなぐ。
カ(きみ)に逢い水を隔てて蓮子をげる。
或は知られるかと、半日を羞ず。
現代語訳(1)
静かな秋の湖、船をとめ。
想いを寄せる男性にそっと蓮の花を投げる私。

書き下し文(2)
秋の日、きれいな長い湖は、青い玉が流れるように流れ。
蓮の花積み重なるところに、小さな舟を結んでおきました。
あなたに会おうと、水の向こうに蓮の実を投げ。
遠くから他人に見られ、半日が恥ずかしかったです。
現代語訳(2)
静かな秋の瑚、船をとめ、想いをよせる男性に
そっと蓮の花を投げる私。
或いは人に知られたのではないかと
半日羞(は)ずかしかった。

書き下し文(3)
秋は長湖を浄(きよ)めて、碧玉のように流れている。
蓮の花の深い処に蘭の舟を繋(つな)いだ。
水を隔てて郎(若者)に逢う為に、蓮子(蓮の実)を投げたが。
或いは人に知られたのではないかと、半日羞(は)ずかしかった。

書き下し文(4)ー1
秋は長湖を浄める、碧玉を思わせる流れ。
蓮の花が重なって咲くところに、美しい蘭の船をつなぐ。
流れが隔てたあなたに逢うため、蓮の実をそっと投げる。
でも、人に知られれた様で、半日羞(は)ずかしかった。

書き下し文(4)ー2
秋は長湖を浄める、碧玉を思わせる流れ。
蓮の花が重なって咲くところに、美しい蘭の船をつなぐ。
水音を立てあなたに知らせるため、蓮の実をそっと投げる。
でも、人に知られれた様で、半日羞(は)ずかしかった。

本では、キラリと輝くと形容しているが、小生は忍ぶ恋ではないかと
思っている。

posted by 成功の道しるべ at 01:20| 日記

2025年01月15日

呂氏春秋10(管仲病有り。桓公往きて)

書き下し文
管仲(かんちゅう)病(やまい)有り。桓公(かんこう)往(ゆ)きて之に問ひて曰く。
仲父(ちゅうほ)の病、漬(や)むこと甚(はなは)だし。
国人不諱(こくじんふい)ならば寡人(かじん)はた誰にか国を属(しょく)せん。
管仲敬(つつ)しみ諾(だく)して曰(いわ)く、公(こう)誰をか相(しょう)とせんと欲する。
公曰く、鮑叔牙(ほうしゅくが)可(か)ならんか。管仲対(こた)えて曰く、不可。
夷吾(いご)、鮑叔牙と善し。
鮑叔牙(ほうしゅくが)の人と為(な)りは清廉潔直(せいれんけっちょく)にして
己(おのれ)に若(し)かざる者を視(み)れば人に比(ひ)せず。
一たび人の過ちを聞けば、終身忘れず。
已むことなくば隰朋(しゅうほう)其れ可なからんか。」

現代語訳
管仲が病気になりました、そこで桓公が見舞いに行って、次の大臣は誰にしたらよいかと尋ねた。
この時仲父というのはの管仲のことですが、重篤だったわけです。
もし万が一お前が死ぬということになったら、誰に国を任せたら良いか。
管仲は「あなたは誰を国の総理大臣にしようと思いますか」と言う。
桓公は、鮑叔牙なら良いと思うがと答えた。管仲答えて曰く、なりません。
夷吾、鮑叔牙と中が良い。鮑叔牙の人と為りは清廉で潔白率直で自分に及ばぬような
人間は問題にしない。一度他人の過ちを聞けば終生忘れない。
これは我が強いということで、どうしても排他的になる。
何か特別の仕事なら良いが天下の宰相には向かぬ。
他に人がいないというなら、隰朋(しゅうほう)が良いでしょう。

参考
管仲と鮑叔牙は、「管鮑貧時の交」と言って最も相許した間柄。
夷吾とは管仲の字(あざな)
桓公-中国の春秋時代の斉の君主。


posted by 成功の道しるべ at 10:22| 呂氏春秋
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