細香女史の詩を読むと脳裏にその光景が浮かんで来る。
この詩は、在りし日の出会いを懐かしく思っている。
原文
当日相逢翰墨場
十年一夢鬢生霜
吟窓依旧炉煙静
展翫來詩親爇香
書き下し文
当日相い逢う翰墨場(かんぼくじょう)
十年一夢 鬢(びん) 霜(しも)を生ず
吟窓(ぎんそう) 旧に依りて 炉煙 静かなり
來詩(らいし)を展翫(てんがん)して 親しく香を爇(た)く
現代語訳
いつか詩文の会でお目にかかったことがございましたね。
あれから夢のような十年がすぎ、私の鬢に白髪がまじるようになりました。
けれども私の書物の窓辺は昔のままで、炉から煙が立ちどまります。
贈り下さったお作をくりかえし読み味わいながら、香をたいているのです。
参考
翰墨場
詩歌や書画をつくったり発表したりして楽しむ集まりの席。
また、その仲間。
細香は名古屋の書画会に度々出掛けている。
そんな折に出会ったのであろう。
湘夢遺稿、下
久しぶりに湘夢遺稿から
原文
爺繙欧蘭書
児読唐宋句
分此一灯光
源流各自泝
児倦思栗芋
爺読不知体
堪キ精神不及爺
爺歳八十眼無霧
書き下し文
爺は繙く欧蘭の書
児は読む唐宋の句
此の一灯の光を分かちて
源流各々自ら泝る
爺は読みて休むことを知らず
児は倦みて栗芋を思う
愧ずるに堪う精神 爺に及ばず
爺は歳八十 眼に霧なし
現代語訳
父はオランダ語の書物をひもといて、私は四角い文字の唐詩、宋詩を読んでいます。
真ん中に置いた一つの灯火の光を分け合って蘭学と漢詩とそれぞれの源へとたどっています。
父は休むことなく書物に没頭し、娘はあきてしまってお芋や栗がほしくなりました。
何とはずかしいことでしょう、私の精神は遠く父に及びません。
父は八十をすぎましたが、その眼はくもりなく物事を見ています。
参考
爺-細香の父江馬蘭斎をさす。
唐宋句-唐詩、宋詩、漢詩の古典である。
原文
爺繙欧蘭書
児読唐宋句
分此一灯光
源流各自泝
児倦思栗芋
爺読不知体
堪キ精神不及爺
爺歳八十眼無霧
書き下し文
爺は繙く欧蘭の書
児は読む唐宋の句
此の一灯の光を分かちて
源流各々自ら泝る
爺は読みて休むことを知らず
児は倦みて栗芋を思う
愧ずるに堪う精神 爺に及ばず
爺は歳八十 眼に霧なし
現代語訳
父はオランダ語の書物をひもといて、私は四角い文字の唐詩、宋詩を読んでいます。
真ん中に置いた一つの灯火の光を分け合って蘭学と漢詩とそれぞれの源へとたどっています。
父は休むことなく書物に没頭し、娘はあきてしまってお芋や栗がほしくなりました。
何とはずかしいことでしょう、私の精神は遠く父に及びません。
父は八十をすぎましたが、その眼はくもりなく物事を見ています。
参考
爺-細香の父江馬蘭斎をさす。
唐宋句-唐詩、宋詩、漢詩の古典である。
posted by 成功の道しるべ at 07:11| 江馬細香
2024年08月02日
女流三大詩人
今回は江馬細香繋がりで書きたい。
さて黒川洋一博士曰く日本の女流の三大詩人は、江馬細香、
与謝野晶子、式子内親王、ということらしい。
早速本を取り寄せて読んで見る。
与謝野晶子の「乱れ髪」から
”柔肌の熱き血潮に触れもみで悲しからずや道を説く君”
テレビのCMで流れていたような気がするので覚えている。
式子(しょくし)内親王
”玉の緒(お)よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする”
百人一首の中にある。
愛子さまが研究対象とされていたらしいと知りチョットびっくり。
式子内親王は後白川天皇の第三皇女、母は藤原成子。
なるほど愛子さまが関心を持たれるわけだ。
小生、石川啄木の「一握の砂」しか読んだことが無かったので
勉強になった。
”東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる”
硬い話ばかりでは疲れるのでたまには、一息。
さて黒川洋一博士曰く日本の女流の三大詩人は、江馬細香、
与謝野晶子、式子内親王、ということらしい。
早速本を取り寄せて読んで見る。
与謝野晶子の「乱れ髪」から
”柔肌の熱き血潮に触れもみで悲しからずや道を説く君”
テレビのCMで流れていたような気がするので覚えている。
式子(しょくし)内親王
”玉の緒(お)よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする”
百人一首の中にある。
愛子さまが研究対象とされていたらしいと知りチョットびっくり。
式子内親王は後白川天皇の第三皇女、母は藤原成子。
なるほど愛子さまが関心を持たれるわけだ。
小生、石川啄木の「一握の砂」しか読んだことが無かったので
勉強になった。
”東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる”
硬い話ばかりでは疲れるのでたまには、一息。
posted by 成功の道しるべ at 23:37| Comment(0)
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