2025年01月15日

呂氏春秋10(管仲病有り。桓公往きて)

書き下し文
管仲(かんちゅう)病(やまい)有り。桓公(かんこう)往(ゆ)きて之に問ひて曰く。
仲父(ちゅうほ)の病、漬(や)むこと甚(はなは)だし。
国人不諱(こくじんふい)ならば寡人(かじん)はた誰にか国を属(しょく)せん。
管仲敬(つつ)しみ諾(だく)して曰(いわ)く、公(こう)誰をか相(しょう)とせんと欲する。
公曰く、鮑叔牙(ほうしゅくが)可(か)ならんか。管仲対(こた)えて曰く、不可。
夷吾(いご)、鮑叔牙と善し。
鮑叔牙(ほうしゅくが)の人と為(な)りは清廉潔直(せいれんけっちょく)にして
己(おのれ)に若(し)かざる者を視(み)れば人に比(ひ)せず。
一たび人の過ちを聞けば、終身忘れず。
已むことなくば隰朋(しゅうほう)其れ可なからんか。」

現代語訳
管仲が病気になりました、そこで桓公が見舞いに行って、次の大臣は誰にしたらよいかと尋ねた。
この時仲父というのはの管仲のことですが、重篤だったわけです。
もし万が一お前が死ぬということになったら、誰に国を任せたら良いか。
管仲は「あなたは誰を国の総理大臣にしようと思いますか」と言う。
桓公は、鮑叔牙なら良いと思うがと答えた。管仲答えて曰く、なりません。
夷吾、鮑叔牙と中が良い。鮑叔牙の人と為りは清廉で潔白率直で自分に及ばぬような
人間は問題にしない。一度他人の過ちを聞けば終生忘れない。
これは我が強いということで、どうしても排他的になる。
何か特別の仕事なら良いが天下の宰相には向かぬ。
他に人がいないというなら、隰朋(しゅうほう)が良いでしょう。

参考
管仲と鮑叔牙は、「管鮑貧時の交」と言って最も相許した間柄。
夷吾とは管仲の字(あざな)
桓公-中国の春秋時代の斉の君主。


posted by 成功の道しるべ at 10:22| 呂氏春秋
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